文責:髙松聖美(2024年度助教)
発泡アルミニウム合金は,アルミニウム内部に多数の気孔が分散した構造を持つ材料です.非常に軽量で,断熱,吸音,衝撃吸収性能に優れているので,建材や輸送機器のバンパーとしての利用が期待されています.金属の固体と液体が共存するセミソリッドスラリーに,熱分解でガスを発生させる粉状の水素化チタンを添加し,発生する泡を保ったまま凝固させることで,気孔構造を持つ発泡アルミニウム合金を作製することができます.
本研究班は,均一な気孔構造を持たせるために最適な作製条件を明らかにすることを目的に研究をしています.気孔構造を不均一にする原因のひとつに,気孔と気孔の間から液体が流出する排液現象があります.すでにスラリー中の固体が排液を抑制するせき止め効果が明らかにされており,さらにセル壁表面の酸化膜がこれをサポートすると考えられています.しかし,最適な固体の大きさ,酸素濃度の条件は不明です.今年度は,そもそも粒の大きさをどのように制御するのか,酸化膜がどの程度生成されるのかについて,比較実験から明らかにする予定です.
最適作製条件が明らかになることで,狙った特性を持つ発泡アルミニウム合金を作製できるようになり,さまざまな分野で工業利用されることが期待されます.
図1 セミソリッド発泡法による発泡アルミニウム合金の作製方法
図2 発泡中の排液現象
(2024/03/26 更新)