インクに水を垂らした時に，仮に流れが無いとしても自然と色が広がります．このような現象を『拡散』と言い，拡散を定量的に表す係数，つまり，原子が運動することで結果的に散らばっていく速さを表わす指標が『拡散係数』です．特に溶解した金属（液体金属）における拡散係数は，金属の凝固・結晶成長において重要であり，鋳造シミュレーションに用いられています．
熱が温度の高い方から低い方へ移動するように，多くの場合，物質の濃度も高い方から低い方へと変化します．我々の研究グループでは，このような濃度変化を利用した拡散係数の高精度測定方法を検討・確立し，実験により拡散データを取得しています．さらに，取得したデータから理論式の検証を行い，『液体金属における拡散メカニズムを解明すること』を目的としています．